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18 透析ケア 2018年 夏季増刊東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科 前まえ川かわ洋ひろし知っておきたい腎臓の基礎知識1腎臓は血液を浄化し、ホルモンを分泌する臓器 腎臓は左右に1つずつ存在する臓器で、そらまめの形をしています(図1)1)。背中側の左右に位置し、1つで130g程度の小さな臓器です。しかし、その構造や機能は非常に緻密で複雑です。多くの人が腎臓はむずかしい臓器と考えています。実際に私もそう思うので、ここでは、すこしでも理解しやすいように、まず簡単に機能について説明してから、詳細な構造、詳細な機能という流れで解説します。腎臓の機能 腎臓の機能は、①尿をつくる、②ホルモンを分泌する、の二つに大別されます。尿をつくる 尿をつくるとは、体内の水分量を調節し、老廃物を除去することを意味します。さらに、尿がつくられていく過程で体内の酸性度を調整し、余分なナトリウムやカリウムといった電解質を排泄します。これらにより、いわゆるホメオスタシス(恒常性)が維持されます。わかりやすくいえば、腎臓は体の「浄化装置」だといえます。ホルモンを分泌する 次に、ホルモンの分泌に関してまとめます。腎臓はエリスロポエチン(EPO)というホルモンをつくることで赤血球を増やして、ビタミンDを活性化して骨を強化します。さらに、レニンというホルモンにより血圧を維持します。腎不全に至ると、これらのホルモン合成に不具合が生じて、さまざまな問題が出てきます。 以上より、腎臓は血液の浄化装置で、腎臓を通過していくあいだに血液をきれいにしてくれるもので、腎臓のなかにはホルモンを分泌する機能をもった細胞が存在している、という大まかなイメージがつくられたと思います。それでは、腎臓の構造を細かく見ていきましょう。腎臓の構造 かつて学生時代に習ったかもしれませんが、臓器の構造はマクロな視点とミクロな視点で見る必要があります。マクロとは目で見てわかるもの、ミクロは目に見えないが顕微鏡を使って見えてくるものと思ってください。

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