編集にあたって 『ハッと驚くほど見てわかる！ 透析患者の合併症カラフルビジュアル図鑑』は、今回、編集に携わる機会をいただいた増刊号のタイトルです。読者のみなさんが本書を手に取られたとき、はたして「ハッ」としていただけたのかしら……。気にかかるところでもあります。 さて、末期腎不全患者に対する本邦の維持透析療法は、世界的にも最高水準の技術を有しており、その結果として透析患者の生存率も世界に冠たるものといわれています。このような現状にわれわれ透析医療従事者は誇らしさを覚える反面、確実に長期化する透析療法の結果、出現してくるであろう、新たな合併症に対峙せねばならないというジレンマと終わりなき戦いのなかにいるという焦燥感を覚えることもあろうかと思います。そんなとき、本書が手軽に開くことができ、解決の糸口を与えてくれる一冊になればと思います。また、透析関連合併症は多岐にわたり、原疾患や透析量、生活習慣など、さまざまな原因が密接に関係しています。本書では透析中に発症し迅速な対応が必要となる急性の透析合併症と、短期的には問題なくとも放置すれば長期的には重大な問題を招く慢性の透析合併症に大別し、それぞれの機序・病態・症状・治療・予防法および看護ケアについて、「1ページで早わかり！」「なぜ起こるの？」「どんな症状？」「どんな治療をする？」「ナースにできるケアは？」という見出しを立て、できるだけ写真やイラストなどの視覚的素材を用いて簡潔明瞭に取り上げています。 執筆者の選定や依頼にあたっては、現場スタッフや編集部のみなさんの尽力により、それぞれの分野におけるエキスパートの先生方に執筆をお引き受けいただくことができました。本書は透析医療従事者の「入門書」として、そして合併症を理解するうえでの「解説書」として活用していただくことができる内容となっています。われわれ透析医療従事者は、さまざまな合併症について正確で専門的な知識を身につけ、日々のケアに活かす必要があります。本書が臨床現場でみなさんのお役に立つことを願ってやみません。2019年4月偕行会名港共立クリニック院長佐藤 隆
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