130102004
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なると、この余裕がなくなり水・電解質の異常が出やすくなります。体液量の調整にかかわる因子としては、抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone;ADH)、アルドステロン(☞41ページ)、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(human atrial natriuretic peptide;hANP、☞52ページ)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide;BNP、☞53ページ)などがあります。 人の細胞外液はpHが7.4±0.05の弱アルカリ性に保たれています。この調整には肺による二酸化炭素排泄と、腎臓による水素イオン(H+)排泄・重炭酸イオン(HCO3−)産生が重要です。腎臓は酸塩基平衡にも重要な役割を担っています。血圧調整 腎臓は血圧を一定に保つためにも重要なはたらきを担います。体液量が増加すると、心拍出量が増え血圧が上がります。したがって、前項で述べた体液量を一定にする腎臓のはたらきは、血圧調整の基本になります。 また、交感神経刺激や血圧低下、体液量の減少を認めると、腎臓の傍糸球体細胞からレニン(☞41ページ)が分泌されます。血圧上昇にはたらく因子であるアンジオテンシン(☞41ページ)とアルドステロンの産生というカスケード反応は、レニンの分泌からはじまることになります。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系は、血圧調整のための重要なシステムです。造 血 人の血液(赤血球)は骨髄で産生され、赤血球の産生はエリスロポエチン(erythropoietin;EPO、☞42ページ)というホルモンによって調整されます。EPOは腎臓の尿細管間質に分布するEPO産生細胞から分泌されます。貧血状態や低酸素状態に反応してEPO産生細胞からEPOが産生され、骨髄に作用することで造血が刺激されます。 近年では、細胞内に低酸素状態を伝える因子である低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor;HIF)と、HIFの分解にかかわる酵素である低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF prolyl hydroxylase;HIF-PH、☞43ページ)のはたらきがあきらかになり、貧血治療に新たに応用されるようになりました。骨代謝 ビタミンDは、肝臓での水酸化を受けた後、さらに腎臓で水酸化を受けて活性型になります。活性化されたビタミンDは腸管からのカルシウム(☞24ページ)の吸収を促し、腎臓からのリン(☞25ページ)の排泄を抑制することでカルシウムとリンを体内に確保するためにはたらきます。腎臓へ作用しカルシウムとリンを調整するほかの因子としては、副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH、☞47ページ)、骨から分泌される線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23;新人スタッフ応援号! 物質キャラ図鑑でまなぶ 透析患者の病態と血液透析Special Edition透析ケア 2020 vol.26 no.4 (309) 13

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