130102004
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Special Edition特集4透析にかかわる物質キャラ図鑑 人間は進化の過程で海から上がってきたため、基本的にナトリウムが生命維持に必須です。しかし、食塩摂取が多いと高血圧になりやすくなります。ナトリウムイオン(Na+)濃度は細胞外液量に影響するといわれますが、食塩摂取過多の塩分感受性高血圧はさらに複雑な仕組みでひき起こされます。慢性腎不全患者では腎臓での塩分排泄が低下・廃絶するため、1日食塩摂取量は、血液透析患者で6g未満、腹膜透析患者で腹膜透析除水量(L)×7.5+尿量(L)×5gと厳しくなっています1)。 塩分には蛋白質を引き締める作用があり、麺のコシや練り物の足、ソーセージのプリプリ感を出すために使われます。まさに塩分が隠れており、透析患者の減塩に思わぬ伏兵となります。 また、ほとんどの血液透析液にはNa+が140mEq/L含まれますが、これは大方の人で透析液と生体との濃度勾配によるナトリウム移動が少ないレベルと考えられていました2)。しかし、個々人の状況によって変化するともいわれており、近年では透析液Na+濃度の微調整が行われています。 ちなみにカリウム(次項参考)が体内に多く入ってくると、ナトリウムは腎臓で排泄されやすくなるといわれています3)。高血圧患者の福音となるのか明確な結論が待たれますが、腎不全患者ではカリウム摂取は高カリウム血症につながるため注意が必要です。 引用・参考文献 1)日本透析医学会.慢性透析患者の食事療法基準.日本透析医学会雑誌.47(5),2014,287-91.2)中山昌明ほか.透析液ナトリウム濃度と糖濃度の変遷と到達点.日本透析医会雑誌.26(1),2011,4-9.3)安東克之ほか.本態性高血圧症患者におけるカリウムの降圧効果.日本内科学会雑誌.72(7),1983,882-9.ナトリウム(Na)1張ちょう・どうき同輝 やまびこ会福岡東ほばしらクリニック院長生命維持に必須の陽イオン・細胞内液より細胞外液に多く存在する陽イオン・細胞外液の大半をナトリウムが占める・ナトリウムイオンとクロールイオンが結合したものが食塩まめ知識20 (316) 透析ケア 2020 vol.26 no.4

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