130102004
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 ナトリウム(前項参照)と異なり、カリウムは細胞内に多く分布します。血中のカリウムイオン(K+)濃度が上がると(高カリウム血症)、膜電位が変化し、規則正しく電気的な興奮をしている心臓に影響を及ぼし、不整脈などをひき起こします。 カリウムは細胞内に98%存在し、2%が細胞外液に存在します。ふだん私たちは血清K+濃度の高低を気にしますが、この細胞内外の分布の不均衡を考えると、じつは「血清K+濃度が高い」=「細胞内のK+貯蓄量が多い」というわけではないのです。 カリウムを大量に摂取すると、K+は細胞内に移動し、その後数時間かけて腎臓で徐々に排泄されます。そのため、腎臓からK+を排泄できない透析患者・腎不全患者の場合、カリウムのとりすぎには要注意です。筆者の経験として、20歳代の女性透析患者がアボカドパーティー後にK+濃度8.5mEq/Lとなったことがありました(最近の日本人の食生活の変化にも驚きです!)。 なお、血液透析液はK+濃度が2.5mEq/L以下に設定されています。血清値よりも低いため、K+を拡散によって除去できます。 引用・参考文献 1)友雅司.透析液の清浄化と透析液組成の最新情報.日本腎臓学会誌.55(4),2013,498-501.2)友雅司.透析液の変遷.人工臓器.46(1),2017,55-9.カリウム(K)2蓄積すると心臓に影響・ほとんどが細胞内液に存在する陽イオン・腎臓で排泄されるため、透析患者や腎不全患者では高カリウム血症になりやすい・高カリウム血症になると、不整脈などをひき起こすまめ知識張ちょう・どうき同輝 やまびこ会福岡東ほばしらクリニック院長新人スタッフ応援号! 物質キャラ図鑑でまなぶ 透析患者の病態と血液透析Special Edition透析ケア 2020 vol.26 no.4 (317) 21

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