130102004
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 体内には約1kgのカルシウムがあり、その99%が骨に存在し、骨外のカルシウムは約1%(10g)がカルシウムイオンとして存在しています。血中の補正カルシウム濃度は8.4〜10.0mg/dL1)に保たれるようさまざまな因子が関与します。調節因子には副甲状腺ホルモン(PTH、☞47ページ)、活性型ビタミンD3(=カルシトリオール、☞46ページ)、インターロイキン-6(☞44ページ)などがあり、これらがRANKL(破骨細胞を増殖させる物質)を発現させ、骨からカルシウムを血中へ誘導します2、3)。 カルシウムは骨の強度を保ちますが、血液中から骨形成に利用されたり、骨から流出しカルシウムイオンとしてさまざまなはたらきをしたりします。なかでもおもに筋肉の伸展・収縮や、生命を維持するためのさまざまな物質の代謝が正しく行われるよう細胞内の情報を伝達します。 近年、維持透析患者では、基準値内でも軽度高カルシウム血症が死亡リスクを増大させることがわかってきました4)。そのため、軽度で無症候性の低カルシウム血症は経過観察を行います。 引用・参考文献 1)日本透析医学会.慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン.日本透析医学会雑誌.45(4),2012,301-56.2)吉川憲子.ミネラル:カルシウム.透析ケア.24(8),2018,692-3.3)黒川清.水・電解質と酸塩基平衡:stepbystepで考える.改訂第2版.東京,南江堂,2004,226p.4)Fukagawa,M.et.al.Abnormalmineralmetabolismandmortalityinhemodialysispatientswithsecondaryhyperparathyroidism:evidencefrommarginalstructuralmodelsusedtoadjustfortime-dependentconfounding.Am.J.KidneyDis.63(6),2014,979-87.カルシウム(Ca)5岡おかだ・けいこ田慶子 偕行会名古屋共立病院腎臓内科骨を強くし、筋肉収縮、細胞伝達も担う・カルシウムを上昇させる薬剤を使用する際は、高カルシウム血症に要注意・慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の理解が大切・低アルブミン血症では、[実測血清カルシウム濃度(mg/dL)+(4−実測血清アルブミン濃度〈mg/dL〉)]という式で補正カルシウム濃度を求めるまめ知識24 (320) 透析ケア 2020 vol.26 no.4

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