130102010
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中井洋 なかい・よう1974年に東北大学医学部を卒業後、2年間の臨床研修を経験。1976年から東北大学医学部で平滑筋の興奮と収縮の研究を行う。1981年からニューヨーク州立大学ダウンステートメディカルセンターで細胞膜のイオンチャネルを研究。1985年に帰国後、人工膜を用いた血液透析、腹膜を利用した持続携行式腹膜透析(CAPD)に従事。細胞膜、人工膜、腹膜と、膜の医学に携わる人生になった。著書は『ケアに生かす「透析学」入門』『教えて! ナカイ先生 透析患者のからだのしくみ』(メディカ出版)など。トウ子:たんぱく質って奥が深いですね。筋肉にコラーゲン、酵素、ホルモンまで……。先 生:そのとおりですね。トウ子:アミノ酸やペプチド、たんぱく質のことがわかって、透析患者さんではたんぱく質を摂取することがどれだけ重要かもわかりました。先 生:どんどん新しい知識を吸収していくトウ子さん、さすがですね!トウ子:でも先生、私、疑問に思っていることが一つあるんです。糖と脂質は炭素(C)と水素(H)と酸素(O)でできていますよね。体内での使命を終えた糖と脂質は、二酸化炭素(CO2)として肺から呼気へ、水(H2O)として腎臓を経て尿へと排泄されますよね。先 生:しっかり理解していますね。トウ子:じゃあ、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)、それに窒素(N)でできているたんぱく質では、窒素(N)はどうなるのですか?先 生:すばらしい疑問です! 今回はそこを解明していきましょう。第9回尿素窒素ってなあに?⁃⁃たんぱく質の分解 たんぱく質は、半減期の長い(寿命が長い)ものや短いものなどいろいろありますが、古くなると分解されます。壊れやすいたんぱく質は細胞質にあるプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)とペプチダーゼ(ペプチド分解酵素)によって分解され、壊れにくいたんぱく質はリソソームという細胞内の酵素の豊富な消化器官で分解され、遊離アミノ酸にされます。そして、必要なアミノ酸は再利用され、不要になったアミノ酸はさらに分解されます。炭素(C)と水素(H)と酸素 (O)でできている糖と脂質は、徹底的に利用されエネルギーを生み出すと、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)になり、それぞれ肺と腎臓から排泄されます。では、アミノ酸に含まれる透析ケア 2020 vol.26 no.10 (967) 71

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