17透析ケア 2020 冬季増刊第2章導入期教育についての標準看護計画ることは自身の疾患への向き合い方だけでなく、社会生活や家族にも大きく影響します。そこで看護者は、患者個々の心理的・社会的背景を把握することが必要です。家庭や職場での治療に対する理解の状況やサポートについても確認しましょう。 透析導入期に患者教育を行う際は、透析を受けることへの身体的苦痛がない状態であるかどうかをアセスメントします。透析導入により生活や心身の変化が激しい時期では、透析導入に伴う新たなセルフケアの習得は、患者に大きな負担がかかることを理解し、教育計画を開始するタイミングを考慮しましょう。看護計画立案のポイント 透析導入教育では、患者が疾患を理解し、透析を受けながらその人らしく生活を継続できるようセルフケア・セルフマネジメントするための方法を獲得することを目標にします。患者の身体的な苦痛を取り除き、患者が教育計画に主体的に取り組んでいけるような時期に計画を進められるようにしましょう。 壮年期では、前述したように家庭や社会での次世代の育成などを担っており、自身の治療についても自律的に学ぶことにより、透析を受けながら生活を調整する方法(生活再編)をみずから考えることができます。そのため、一方的な患者教育にならないよう、患者個々の生活背景や学習レディネス(学習するための準備状態)に合わせた計画を立てましょう。また、患者のみではなく、家族や職場などのサポート体制をととのえるような計画にしましょう。看護計画(O-P…観察計画、T-P…ケア計画、E-P…教育計画)3 発熱など感染症を疑うときの対処法を説明する4 便秘時の対処法を説明する5 運動療法を指導する6 治療日の変更や旅行・出張時の対応を伝えるT-P⑥)1 家庭や職場で困ることがあれば、ケースワーカーや医療相談サービスなどと連携するE-P⑥)1 療養環境に不安があれば伝えるよう説明する
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