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腎臓の位置 成人の健常な腎臓は、長さ約10cm、幅約5cm、重さ約150gの握りこぶし大の臓器で、腰よりやや高い位置の背中側に背骨を挟んで左右に1個ずつ存在しています(図1)。腎不全患者の腎臓サイズは萎縮し、とくに透析患者ではその萎縮度合いは顕著となります。腎臓の構造 腎臓の実質構造は、皮質と髄質から構成されています(図2)。皮質は腎臓の表面(皮膜)に沿って連続的に広がっており、髄質は腎臓の内側に存在し、腎錐体とよばれる円錐状の塊として存在しています。腎臓の皮質と髄質の中身をより詳細に見ていくと、糸球体および尿細管というミクロの器官で構成されており、その両者で尿を生成しています。糸球体はおもに皮質に存在し、尿細管は皮質・髄質の両者に存在しています。糸球体は球状の構造物で、毛玉のように絡み合った毛細血管から構成されており、直径は0.2mmほどで、1個の腎臓に100万個ずつ、左右の腎臓合わせて200万個ほど存在しています。尿細管は管状の構造物で、管の直径は0.02~0.04mm程度で、皮質と髄質の中を複雑に走行して存在しています。腎臓のはたらき①尿の生成 腎臓は二段階方式で尿をつくっています。第一段階として、糸球体で血液を濾過し尿の大元である原尿をつくっています。糸球体ではまず血液をふるいにかけ、人間にとって必要なもの(血球や蛋白質など)を血液中に残し、不要なもの(老廃物や余分な電解質、酸など)を原尿として排泄しています。そして第二段階として、原尿をさらに詳細に必要なものと不要なものとに選定し、必要なものを血液中に再吸収、不要なものは尿として排泄します。この第二段階の役割を担うのが尿細管になります。 左右の腎臓にある200万個の糸球体から、毎分約140mLの原尿が血液から濾過され、1日Special Edition桑くわの・かつひさ野克久 長崎大学病院腎臓内科太おおた・ゆうき田祐樹 同 西にしの・ともや野友哉 同教授/副病院長腎臓をよく知ろう110 (306) 透析ケア 2021 vol.27 no.4

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