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180 消化器外科NURSING 2017 春季増刊1縫合不全慶應義塾大学医学部 外科学 一般・消化器外科 石いしだ たかし田隆 北きたがわ ゆうこう川雄光いつごろ?縫合不全とは消化管吻合部が、緊張や血流障害などで一部または全周に破綻をきたした状態を指します。通常、縫合不全は術後1週間以内に発生することが多くみられます。どのドレーン?消化管吻合部近傍にドレーンが留置されていれば、下記に示す消化管内容の漏出が確認されます。消化器外科手術では、腹腔内に複数のドレーンが留置されることがしばしばあり、どのドレーン排液に問題があるかがきわめて重要です。排液の性状は?正常な術後経過では、ドレーン排液は漿液性で、リンパ液や腹腔内洗浄液などが含まれます。消化管の縫合不全が起こった場合、食道切除術や胃切除術後の場合は無色透明(唾液・胃液様)~胆汁混入(黄色)、大腸切除術後では茶色(腸液、便汁様)となります。また遺残膿瘍など腹腔内感染があると膿汁がドレナージされます。ほかの判別方法は?排液観察は、視覚のみならず、嗅覚も用いて観察することが重要です(便臭・異臭がないか)。また、胆汁や膵液の判別には、それぞれドレーン排液のビリルビン値やアミラーゼ値が重要な情報となります。茶色(左:便汁様、右:腸液)(文献1より転載)
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