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消化器外科NURSING 2017 春季増刊 1816章ドレーンからわかる合併症への対応腹腔内に消化管内容が漏れるので、腹腔内膿瘍や汎発性腹膜炎など腹腔内感染の原因となります。縫合不全はすべての消化管吻合に起こる可能性がありますが、縫合不全の頻度は、食道再建や大腸吻合、膵腸吻合で高い傾向にあり、これらは重篤化することがあるので、特に注意が必要です(図1)。縫合不全は腹腔内の感染と炎症を引き起こすため、それに伴う発熱や腹痛が出現します。縫合不全箇所が小さく周囲への消化液の漏出が少ない場合やドレナージが良好な場合は、バイタルサインや腹部症状に劇的な変化がみられることはありません。しかし、縫合不全箇所が大きく周囲への消化液の漏出が多い場合は、汎発性腹膜炎から敗血症を併発し、敗血症性ショックなどのきわめて重篤な状態に移行することがあるので、特にバイタルサインに厳重な注意が必要です。なお、敗血症は下記の4項目のうち、2つ以上を満たすものと定義されています。ㅡ体温が38℃以上または36℃未満ㅡ心拍数が90拍/分以上ㅡ呼吸数が20回/分以上またはPaCO2が32mmHg未満ㅡ白血球数が12,000個/μL以上または4,000個/μL未満,もしくは幼若型が10%を超える。図1縫合不全(イメージ図)
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