M111750
8/16
8 消化器外科NURSING 2017 春季増刊1ドレーンとは三重大学大学院医学系研究科 消化管・小児外科学 荒あらき としみつ木俊光 大おおきた よしき北喜基 大おおい まさき井正貴 問といやま ゆうじ山裕二 廣ひろ じゅんいちろう純一郎 吉よしやま しげゆき山繁幸 楠くすのき まさと正人同先端的外科技術開発学 小こばやし みなこ林美奈子ドレーンとドレナージドレナージ(drainage)とは、体内に貯留した消化液、膿、血液や浸出液などを体外に排出することによって、感染症の原因物質を除去したり体腔内を減圧する処置のことです。そして、そのために用いられる器具(チューブ)がドレーンです。手術室で実施されるものから、検査室、あるいはベッドサイドや外来で実施されるものまで、その種類や程度はさまざまです。ドレナージの種類臓器内に直接ドレーンを留置して行われるドレナージと、臓器周囲のスペースに対して行われるドレナージに大きく分けられます。臓器に留置するドレナージ臓器に留置されるドレナージで、留置される側の臓器として、主に胆管や胆囊が挙げられます。具体的には経皮経肝胆道ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage;PTBD)や経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage;PTGBD)などが行われます。手術後に留置されるCチューブやTチューブもこの一種です。また、経鼻胃管(NGチューブ)やイレウス管、あるいは経肛門的カテーテルなどは、腸管内容物を体外へ“ドレナージ”するドレーンの一種とも考えられます。臓器周囲に対するドレナージ臓器周囲に対して行われるドレナージには、膿瘍ドレナージ(図1)や胸水・気胸・血胸などに対する胸腔ドレナージなどが挙げられます。手術後の皮下、胸腔内、あるいは腹腔内ドレナージもこちらに該当します(図2)。ドレナージを行ううえでの注意点ドレナージは当然、患者さんの治療に役立つことを目的に実施されますが、その効果を十分に発揮させるためには、ドレナージの目的、方法、種類などをしっかりと理解することがとても重要になってきます。一方で、誤った使用によって、医療
元のページ
../index.html#8