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24  消化器外科NURSING2017年秋季増刊Chapter2肝臓の治療とケア はやわかり1.肝臓の解剖①肝臓はどのような構造をしているの?肝臓の位置 肝臓は第12胸椎の高さにある重量1.0〜1.5kgの、腹部ではいちばん大きな臓器です。生体内での正常な肝臓は表面がつるつるした軟らかい手触りをしています。食べたことがある人はレバーの刺身を思い出してください。肝臓は肋骨弓に隠れるように横隔膜に接して右上腹部に存在します。肝臓の大部分は臓側腹膜で覆われていますが、後面の一部は腹膜に覆われていません(無む漿しょう膜まく野やといいます)。肝臓は、肝鎌状間膜、肝冠状間膜、左・右三角間膜で腹腔内に固定されています。肝臓の構造 肝臓は解剖学的には肝鎌状間膜付着部で大きな右葉と小さな左葉に分けられますが、機能的にはカントリー線(目に見えない架空の線です)という下大静脈と胆囊窩を結ぶ線によって右葉と左葉に分けられます。特徴の一つは、肝に流入する血管は肝動脈と門脈の2つがあることで、胆管とも伴走して、結合組織(グリソン鞘)に包まれて1つの束となり、徐々に肝内で分枝しています。流出路は右、中、左肝静脈であり、グリソン系脈管とこれら肝静脈は、肝臓の中で両手の指を合わせたような構造になっています。 肝臓は肝小葉と呼ばれる最小単位(直径1〜2mm)の六角形をした構造物が多数集まって構成されています。グリソン鞘は、門脈三つ組と呼ばれる小葉間動脈、小葉間静脈(門脈)、小葉間胆管が通る結合組織で、小葉の六角形の角に存在します。肝小葉の中心に中心静脈が存在し、その間に肝細胞が放射状に並んで肝細胞索を形成しています。肝小葉では、血液は外側から中心へ、胆汁は中心から外側へ流れています。肝細胞索と肝細胞索の間は類るい洞どうと呼ばれています。門脈域から流入した血液は類洞を流れて、中心静脈に至り肝静脈へ流れます。胆汁は肝細胞で作られ、肝細胞間の毛細胆管へ排出されて、細胆管からグリソン鞘内の小葉間胆管に集まり、徐々に太い肝内胆管へ流れ、肝外胆道へ到達します。肝臓は重量1.0〜1.5 kg、脳と並んで人体最大の臓器です。肝小葉と呼ばれる構造物が多数集まって構成されます。

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