M111751
14/16

190  消化器外科NURSING2017年秋季増刊Chapter4膵臓の治療とケア はやわかり12.膵臓の診断・検査②膵臓の画像診断にはどのようなものがあるの?腹部超音波検査(図1):簡便で体に負担のかからない非侵襲的な検査法です。肥満や腸管ガスの多い患者さんでは、膵臓自体が見えないことがあるのが弱点です。膵尾部や膵鉤部にがんがあった場合も見つけにくく、検診の超音波検査で膵がんが発見される確率は0.06%以下です1)。腫瘍自体が認められない場合でも、膵管の拡張(2mm以上)や囊胞がみられた場合は、造影CT検査などの次のステップに進むことが望まれます。腹部造影CT検査(図2):症状や血液検査または超音波検査で膵がんを疑った場合に行います。膵がんは単なる造影CTでは見逃す可能性がありますので、可能であれば造影剤の注入時期に応じてCTを撮影する多時相撮影(ダイナミック造影CT)が望ましいです。がんかどうかの診断のほかに、膵がんが浸潤しやすく手術が難しくなる門脈・上腸間膜動脈・総肝動脈への浸潤やリンパ節腫脹の有無の診断、また遠隔転移検査も兼ねるため、病期診断(ステージング)として欠かせない検査の一つです。最近では3D画像の作成も可能となりました。血管の走行や分岐型などを手術前に確実に把握できるようになり、手術の安全性の向上や出血量減少にも役立っています。造影剤で重篤なアレルギー反応や腎機能障害が生じることがあり、アレルギー歴や腎機能障害の有無に関する問診は重要です。MRI検査:MRI検査は、以前は膵臓での画像の質がCTより劣っていましたが、最新のMRI装置での画質はCTと変わらなくなっています。MRIは検査に時間がかかりますが、X線被曝がないことが利点として挙げられます。また膵がんは膵管に拡張などの変化がみられ、内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)検査が行われることがありますが、MRI装置を用いて膵管を描出するMR胆管膵管検査(MRCP検査)は、低侵襲で膵管の形態を診断できます(図3)。MRIは磁場の強い閉鎖空間で撮影するため、体内金属・入れ墨・閉所恐怖症の有無などを確認します。PET/CT検査(図4):PET検査はがん細胞が正常細胞に比べてブドウ糖を何倍も多く取りこむ性質を利用した検査です。ブドウ糖に似たFDGに、放射線を放出するフッ素-18という元素で標識した薬を投与し、ブドウ糖の取りこみが盛んながんを検出します。PETの代謝情報とCTの形態情報を組み合わせたPET/CT診断が普及してきています。まだ腫瘍径が2cm以下の膵がんや糖尿病併存例などは検出が難しい場合があります。検査費用が高額ですが1回の検査で全身の遠隔転移検索が可能となり、膵がん骨転移の診断には非常に有用です。検査前6時間以上の絶食および糖分摂取禁止が必要で、患者さんには糖分摂取禁止の十分な説明が必要です。引用・参考文献1)日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会.膵癌診療ガイドライン.2016年版.東京,金原出版,2016,272p.画像診断には、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査があります。

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る