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12  消化器外科NURSING2017年秋季増刊Chapter1肝胆膵のキホンQ&A1.肝胆膵のキホン①どうして肝・胆・膵をひとまとめに考えるの?解剖学的に近接し、お互いに影響を及ぼすだけでなく、臓器機能学的にも相関しているからです。解剖学的にお隣さんどうし 肝臓と胆道(胆囊+胆管)と膵臓は、解剖学的にお隣さんどうしの近い位置関係にあります (図1)。したがって肝・胆・膵のいずれかの臓器で発生した病気は、お隣さんどうしですので、相互に影響を及ぼしやすくなります。そのため、肝・胆・膵をひとまとめにして考えたほうが理解しやすい疾患や病態は少なくありません。たとえば、膵頭部や十二指腸近傍に局在する腫瘍の原発巣は、膵臓なのか、遠位胆管なのか、十二指腸ファーター乳頭部なのか鑑別に苦慮することがあります(図2)。また肝門部領域の胆管がん(図3)や胆囊がん(図4)では容易に肝臓内へ病変が浸潤していくため、肝臓も含めて診断および治療する必要があります。このように解剖学的に近接臓器である肝・胆・膵をひとまとめに考えることは、臨床上も理にかなっています。臓器機能学的にも密接に相関 肝・胆・膵は解剖学的に近接しているだけでなく、機能的にも相関し、臓器間でクロストーク(臓器どうしがお互いに影響しあうこと)が行われています。具体的には、膵臓から分泌されるインスリンやグルカゴンが、主として門脈、一部は肝動脈を経て肝臓へ入ります。そしてこれらの膵ホルモンが肝臓で行われている糖代謝にも密接に関与しています。また肝臓で産生された胆汁が胆道を通過して、十二指腸へ入っていくことにより、食べ物の消化・吸収を促します。さらに大便は胆汁により着色されます。閉塞性黄疸などで胆汁が十二指腸内に正常に流れていかない場合は、灰白色便になります。このように肝・胆・膵は肝と膵を門脈や胆道が橋渡しするような形で、臓器機能学的にも密接に相関しています。

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