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消化器外科NURSING 2018春季増刊2 春は活気に満ちた季節ですが、病院では新人医師、新人看護師などの新卒者や人事の異動により、慌ただしく人が入れ替わるので、さまざまな危険をはらんだ時期でもあります。病気は季節を選ぶことなく訪れるので、管理する側としては、この時期は皆で一丸となって初心に帰って基本を忠実にこなし、多少ペースダウンしてでも安全に医療現場をコントロールすることに細心の注意を払います。 さて、新人の皆さんが消化器外科の病棟で感じるのはチーム医療の重要さだと思います。医師も看護師も薬剤師も技師も事務職も全て専門性が高く、それを持ち寄ることにより複雑な医療というシステムを動かしていることに驚くでしょう。一人ひとりが、自分の役割をきちんとこなして次の人に渡すということは、ほかの人にもわかりやすい基準で、わかりやすい行動をし、わかりやすい言葉で記録を残すということです。ある意味パターン化なのかもしれませんが、医療は芸術やスポーツではないので、オリジナリティよりもまずは皆と同じことがきちんとできるということが重要です。オリジナリティはそのずっと先にあるものです。この本では看護基本技術・ケアについて、実践的であること、確実性があることを基準に学んでいただけるように企画しました。 毎年のことながら、若い人たちの吸収力の速さ、適応力の高さに感動します。春に入った新人は、先輩から、書物やインターネットから、そして患者さんからもどんどん学んで、夏までには一通りのことが任せられるようになります。ここからが本当のスタートで、その後も経験のなかで学習する日々が続きます。外科の場合、入院して、手術して、回復して、退院する、一見同じように見えるこの繰り返しのなかで、新人の皆さんはらせん状に知識と技術を繰り返し習得していきます。そして秋、冬が過ぎるとまた春が来ます。今度は先輩として後輩たちに指導する立場になるわけです。 1年はあっという間ですが、新人のころの1年は10年にも匹敵する重要性を含んでいます。そんな皆さんの生涯学習のスタートのお供になれば幸いです。大阪大学大学院 消化器外科学 教授土岐祐一郎どき・ゆういちろうはじめに

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