130111851
15/16

消化器外科NURSING 2018 秋季増刊179内視鏡・その他の治療 151 内視鏡的消化管止血術5章です。出血性ショックを起こしている場合はドクターコールし、また、輸液や輸血が必要になることが多いため、末梢血管を確保して、血液検査や、輸血用の採血の準備も行っておくとよいでしょう。また、吐血している場合は誤嚥を予防するため、側臥位に体位変換をするか、顔だけでも左横に向けます。下血している場合は、消化管内にたまった血液が排出されたのか、新たに出血したのかを判断するために、便の性状を医師に確認するのも重要です。 術後の食事に関する注意と退院指導治療後は、吐下血の症状や血液検査で貧血の進行がないことが確認されるまでは、再出血のリスクがあるので、絶食で消化管の安静を保ちます。食事を開始しても、食物繊維が少なく消化のよい軟らかい食事から開始することで、消化管への負担を減らします。消化性潰瘍の場合は、制酸薬の内服が必須です。また、アルコールや香辛料などの刺激物は胃酸の分泌を促進するため、避ける必要があります。退院後にも再出血することがあり、制酸薬の内服は継続してもらいます(胃潰瘍で8週間、十二指腸潰瘍で6週間)。患者さんには便の性状を確認してもらい、吐血や下血などの出血症状を認めたときにはすぐに受診するように指導します。(具嶋亮介、庄野 孝)2吐血:食道、胃、十二指腸など上部消化管からの血液を口腔より吐出すること。下血:消化管からの出血が肛門から排出されることをいい、黒色便と鮮血便に分けられる。用語解説図1 黒色(タール)便図2 鮮血便引用・参考文献1)小越和栄ほか.治療内視鏡に関するリスクマネージメント.日本消化器内視鏡学会雑誌.47(12),2005,2681-90.2)藤城光弘ほか.非静脈瘤性上部消化管出血における内視鏡診療ガイドライン.日本消化器内視鏡学会雑誌.57(8),1648-66.

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る