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1食べ物の消化が困難になる! 膵臓の外分泌機能が低下すると、糖・タンパク・脂肪の分解ができなくなり、腸管からの栄養の吸収が困難となります。消化不良により排便は脂肪便などをはじめとした下痢となり、栄養不足にも陥ります。膵臓を切除したり、アルコール性慢性膵炎などで膵機能が低下した人に対しては薬剤で膵消化酵素を補います。2血糖調節が困難になる! 膵臓の内分泌機能が低下すると、インスリンやグルカゴンなどの血糖調節を行うホルモンが枯渇してきます。ここで問題となるのが、人体で血糖値を下げるホルモンがインスリンしかないことです。グルカゴンなどの血糖上昇作用のあるホルモンはほかにもありますし、糖は補充すれば上昇します。しかし血糖値を下げることに関しては、インスリンが枯渇すれば人体での代替手段がなく、血糖は上昇していきます。これが膵臓の機能低下による糖尿病です。膵がんなどで膵臓の全摘術を行った場合は、インスリンの分泌がほぼゼロになるため、必ずインスリンの注射が必要になります。だから、膵臓の機能が落ちると…消化器ナーシング 2019 春季増刊 35みてみよう!消化器の解剖とはたらき - 6 膵臓の解剖とはたらき第章1 膵機能が低下した患者さんでは、程度にもよりますが、自宅での食生活の工夫も必要となります。普段の食事内容や摂取量を患者さん本人に確認するだけでなく、自宅で実際に調理している家族は誰なのかも把握し、味付けや食材などの工夫点を管理栄養士とともに話し合うようにしましょう。先輩のこっそりPOINT!もう言える!大事なのはココ膵臓はさまざまな臓器や血管、神経に囲まれており、検査や治療アプローチが難しい臓器です。膵臓は外分泌機能として糖・タンパク・脂肪を分解する消化酵素を分泌しており、この機能が低下すると消化吸収障害によって下痢を引き起こし、栄養不足になります。膵臓は内分泌機能として血糖調節にかかわるホルモンを分泌しています。特に血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンを分泌しており、この機能が低下すると糖尿病を引き起こします。123

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