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169消化器ナーシング 2019 秋季増刊 症併合 !!!!115傍ストーマヘルニア(藤﨑栄子)■傍ストーマヘルニアとは(図1) 傍ストーマヘルニアは、腹壁ストーマ孔に起こるヘルニアのことである。原因には造設法(腹直筋外での造設、過剰な腹直筋腱膜の切開)と患者因子(加齢・体重増加・腹圧上昇など)がある。 診断は、CT画像でヘルニア門、ヘルニア囊、ヘルニア内容物の有無を確認する。触診も行い、ヘルニア発生部位と腹直筋の位置関係、体位(立位・坐位・仰臥位)による腹壁やストーマサイズの変化を観察する。管理上の問題としては、腹部の変形による装具装着困難、排泄物の漏れによる皮膚障害、ヘルニア内容物の圧迫による排便障害、腹痛や嵌頓などが挙げられる。 治療は、ヘルニア部にメッシュを留置する外科的修復術は再発やメッシュ感染などのリスクがあるため、ヘルニアベルトによる保存的治療が一般的に優先される(表1、2)。➡ストーマ脱出 傍ストーマヘルニアは、形成した孔から小腸や大網が脱出しストーマ周囲皮膚が膨隆する状態である。ストーマ脱出とは区別しておきましょう。114傍ストーマヘルニア図1横から見たところ正面から見たところ傍ストーマヘルニアのときの装具選択のポイント表1●傍ストーマヘルニアの膨隆した腹壁に追従しやすい単品系平面型装具を選択する。二品系を選択する場合は、固定型フランジよりも浮動型フランジや粘着式フランジを選択するとよい。●固定型フランジや凸面のある面板は、腹壁の硬さによっては反発して排泄物の漏れにつながったり、ストーマ周囲に潰瘍が発生したりする可能性もある。●面板外縁がテーパーエッジ型や、外周テープ付きのほうが、変化する腹壁に追従しやすく面板が安定する。●膨隆の程度によって、面板の外側に放射状に切り込みを入れることで、腹壁の形状の変化に追従しやすくなり、面板外周部が浮いてくるのを予防できる。●ヘルニアの膨隆によって装具の変更が必要な場合、慣れた装具を変更することは、患者にとって大きなストレスとなる。装具を変更する場合は、排出口や貼付方法が同じような装具を優先する(同じメーカーの装具は扱いが似ていることが多い)。ストーマベルトやヘルニアベルトなどで対応可能な場合は、そちらを優先してもよい。

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