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26消化器ナーシング 2019 秋季増刊014回腸導管(上川禎則)■回腸導管とは 膀胱以後の下部尿路が使用できなくなった状況で、回腸の一部を利用して、尿を腹壁から出す尿路ストーマの一種である(図1、2)。1950年にBrickerが発表してから70年近く経つが、術後の腎機能がよく保たれ、原則、カテーテルを入れる必要がなく、ストーマケアも確立しているため、今でも標準の尿路変向である1)。回腸末端の一部を遊離(血管を付けたまま切断すること)し、口側に尿管を吻合、肛門側端を皮膚へ開口する。 回腸導管には蠕動(ものを口側から肛門側に送る運動)が残っているので、腹壁のストーマ口から尿が常に体外へ排出され、尿をためるストーマ袋を装着する必要がある(非禁制型)。➡回腸ストーマ/イレオストミー➡回腸に造設した外瘻/人工肛門➡(回)腸で作った尿を出す出口(孔)、人工膀胱004回腸導管図1回腸導管(尿路変向)図2腸間膜回腸導管尿管15~20cm10~15cm●回腸導管の術後合併症 回腸導管に特徴的な術後合併症に、ストーマ周囲皮膚障害(偽上皮腫性肥厚を含む)(図3)、尿路感染、尿路結石などがあります2)。原因として、ストーマ周囲への尿の停滞、尿のアルカリ化などが挙げられます。ストーマの形状や、溶解の状態に合わせた適切な面板の選択、適度な水分摂取指導、クランベリージュースの飲用などによる尿の酸性化などが予防に効果的です。1)住吉義光.回腸導管造設術(イラストレイテッド 膀胱全摘除術と尿路変向術).臨床泌尿器科.63(4),2009,167-72.2)山口健哉ほか.“尿路ストーマの特徴的な合併症”.ストーマリハビリテーション基礎と実際.第3版.ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.東京,金原出版,2016,221-2.ストーマ周囲皮膚障害図3

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