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3 経口内視鏡の前処置  胃粘液を除去し、粘膜を観察しやすくするために粘液除去剤を飲用してもらい、その後、リドカイン(キシロカインⓇ)によって咽頭麻酔を行います。 経鼻内視鏡を行う場合には、リドカインによる鼻腔・咽頭麻酔の前に、血管収縮薬を散布して鼻腔の通りをよくします。血管収縮薬の効果は散布後10~15分後がピークといわれているため、経口内視鏡の前処置に比べて経鼻内視鏡の前処置には時間がかかります。粘液除去剤は、胃内出血が疑われる患者さんの場合には出血を助長してしまう可能性があるため、内服は控えましょう。リドカインにはアレルギー症状と中毒症状があります。歯科麻酔などでアレルギー反応の既往がある患者さんには投与を控えましょう。また、経口内視鏡でのリドカインの中毒注意域は一般的に200mgといわれています。よく使用されているキシロカインⓇポンプスプレーでは25プッシュ、キシロカインⓇビスカスでは10mLが中毒注意域にあたります。過剰な使用は控えましょう。 トラブル 回避の ポイント! 4 経肛門内視鏡の前処置  残渣の残りにくい食事を検査施行の2~3日前から摂取し、便秘の患者さんは前日に緩下薬を内服してもらったうえで、当日に腸管洗浄剤を内服してもらいます。腸管洗浄剤の種類はさまざまありますが、多くは2Lほどの高張または等張の水分によって腸内に“津波”を起こし、腸管内を洗い流すことで洗腸します。高度な便秘の人や、腸閉塞を起こしている人は、腸管洗浄剤によって腸管穿孔などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるので、十分に注意する必要があります。「残渣の残りにくい、消化によい食事」と言ってもわからない・作れない・守れない患者さんもいるため、各メーカーが販売している経肛門内視鏡用の低残渣食を勧めることもよい方法です。特に透析を行っているような腎機能障害の患者さんには、腸管洗浄剤としてマグネシウムを多く含むもの、リンを含むもの、水分を多く摂取する必要があるものは避けましょう。 トラブル 回避の ポイント! 5 鎮痙薬投与  消化管の蠕ぜん動どう運動があると、検査中の観察に支障が出たり、施行時間が延長したりします。特に経肛門内視鏡の場合、消化管の蠕動運動に逆らって内視鏡を挿入するため、鎮痙薬を使用します。 鎮痙薬にはブチルスコポラミンとグルカゴンの大きく2種類があります。それぞれ禁忌疾患・慎重投与疾患があるので、表1にまとめます。第1特集エキスパートの視点でトラブルを防ぐ&見逃さない!“注目すべき場面”が時系列でわかる!消化器内科 11の治療と検査消化器ナーシング 2020 vol.25 no.12 (1151) 7

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