44 消化器ナーシング 2020春季増刊治療前ケアのチェックリスト聴取・説明事項 通過障害や食欲不振により、低栄養、脱水がないか 腫瘍からの出血により、貧血となっていないか 併存疾患に循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病、肝疾患、腎疾患があるか、高齢者では認知症などがあるか 上記併存疾患に対する内服薬の確認。特に抗血小板薬や抗凝固薬を中止しているか術前リハ・準備 栄養状態が悪い場合、経腸栄養などを行うか 術後の肺炎予防のため、呼吸訓練や禁煙の指導オペ室への申し送り アレルギーの有無 中止薬の有無 点滴の有無、部位治療後ケアのチェックリスト術後リハ・対応 肺炎や静脈血栓症の予防、腸蠕動回復のための早期離床 全身状態の観察、合併症の早期発見注意する症状 創感染、腸管麻痺、呼吸音異常の有無の観察 ドレーン排液の性状・量の確認 尿量の確認退院前の説明事項 食事摂取方法の指導 ダンピング症候群の説明、対策 外来通院の必要性の説明治療後に注意する合併症膵臓から分泌される膵液が腹腔内に漏出する病態。膵液にはタンパク質分解酵素が含まれ、腹腔内の自己組織を溶かして二次的に縫合不全をきたしたり、大出血することもある。感染をきたすと腹腔内膿瘍を形成し難治化する4)。膵液ろう 2~5%縫合不全 1~3%肺炎・無気肺 5%以下消化管の吻合部(つなぎ目)や縫合閉鎖部が破綻し、食べ物や消化液が消化管の外に漏れ出す病態。菌の塊である消化管内容が漏出すると腹腔内膿瘍を生じる4)。術中の全身麻酔や術後の気道分泌の増加により、無気肺を惹起する。さらに無気肺が遷延したり、口腔・鼻腔内の細菌が気道内に侵入すると肺炎を発症する4)。腹腔内に感染を生じて膿のたまり(膿瘍)が形成される病態。その原因としては、手術操作による汚染、浸出液や血液の貯留、膵液ろう、縫合不全などが挙げられる4)。吻合部が狭窄する(狭くなる)病態。通り道が狭くなると食べ物が通りにくくなり、つかえ感や嘔吐などの症状が出現する4)。腹腔内膿瘍 5%以下吻合部狭窄 1%以下狭窄損傷部膵液分泌物肝臓膿吻合部嘔吐
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