消化器ナーシング 2020 秋季増刊52Chapter 3 消化器がんの病態と治療食道がん杏林大学医学部 腫瘍内科学 古瀬純司11. 食道がんの基礎知識食道がんは男性に多く、扁平上皮がんが90%わが国のがんの統計2018年によると、食道がんの年間死亡数は11,483人、年間罹患数は22,710人であり、性別の罹患数は男性19,067人、女性3,643人と男性で多く発症しています。組織型は、わが国では扁平上皮がんが約90%とほとんどを占め、腺がんは4%程度です。一方、欧米では腺がんが50~70%と異なっています。扁平上皮がんの主な危険因子は飲酒と喫煙であり、特にアルコールの摂取量が重要な因子となっています。腺がんの危険因子としてはバレット食道[用語解説1]、胃食道逆流症、肥満、喫煙が挙バレット食道 食道の粘膜は扁平上皮ですが、胃の粘膜は円柱上皮で覆われています。バレット食道は、食道下部の粘膜が胃から連続して円柱上皮に置き換わった状態をいいます。原因としては胃酸の逆流が関係しているともいわれています。食道がんの危険因子とされます。用語解説1食道がんは男性に多く、ほとんどが扁平上皮がんであり、飲酒と喫煙が重要な危険因子です。食道がんに対する治療は、Stage 0では内視鏡的治療、Stage Ⅰでは切除手術単独あるいは化学放射線療法、Stage Ⅱ、Ⅲでは術前補助化学療法後切除手術、Stage ⅣAでは化学放射線療法、Stage ⅣBでは化学療法を行います。食道がんのキードラッグは、フルオロウラシル、シスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ニボルマブです。ここで解説する3Point!食道がんの病態と治療方針
元のページ ../index.html#14