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消化器ナーシング 2020 秋季増刊9Chapter 11消化器がん化学・薬物療法薬の分類を紹介します。細胞障害性(殺細胞性)抗がん剤作用機序 細胞障害性抗がん剤は、細胞分裂の過程を標的として、細胞分裂を障害したり、細胞死を誘導したりして、腫瘍の増大を抑制し、プラチナ製剤やタキサン製剤などに分類されます(図1)。腫瘍細胞には多様性があること、細胞周期が細胞によって異なることから、単剤でなく、複数薬剤による併用療法が多く行われます。主な副作用 細胞障害性抗がん剤の主な副作用は、骨髄抑制であり、白血球(特に好中球)、赤血球、血小板といった、骨髄で造血される細胞が減少します[用語解説1、2]。また薬剤により、悪心・嘔吐、食欲不振、下痢などの消化器症状、脱毛、末梢神経障害なども出現します。 副作用は、出現する時期が異なる点も重要です(表2)。悪心、食欲不振などは治療1~3日前後と比較的早期に出現します。骨髄抑制は1~2週間後にピークがあり、脱毛も2週間以後に出現します。末梢神経障害は、急性期と慢性期、二通りの出現パターンがあります。 副作用を考えるうえでは、回復するものか、長期に持続図1 細胞障害性抗がん剤の作用機序細胞障害性抗がん剤細胞分裂を障害正常細胞にも攻撃が及び、骨髄抑制などの副作用が…がん細胞を死へ誘導ナディア(nadir) 化学療法により骨髄抑制が生じ、血液細胞、特に好中球がいちばん少ない状況になる状態を指します。患者さんと医療チームがこのタイミングを意識することで、合併症としての重篤な感染症の早期発見につながります。用語解説1発熱性好中球減少症(febrile neutropenia;FN) 好中球減少に37.5℃以上の発熱を伴った状態を指します。化学療法中に、好中球減少から重篤な感染症を引き起こすと死に至ることもあり、適切な抗菌薬治療を中心とした緊急の処置が必要です。用語解説2

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