章1消化器領域でみるドレーン・チューブのきほん章2術後ドレーンのきほん〜留置部位・術式・ケア〜章3内科的治療チューブのきほん〜目的・留置法・ケア〜章4排液からわかる合併症と正常・異常のみかた章5ドレーン・チューブ周辺の管理とトラブル対応ドレーン・チューブにまつわるケアのQ&A章6章6消化器ナーシング2021春季増刊189固定の手順①ドレーン刺入部は、術中に外科医によりナイロン糸を用いて皮膚に縫合固定されています。②陰圧となる胸腔内や皮下への空気の混入を防ぐために、刺入部を密閉することが大切です。刺入部を覆うように透明フィルムドレッシング材を貼付し密閉します。透明フィルムドレッシング材を用いることで刺入部の観察が可能です。滲出液が多く、透明フィルムドレッシング材が剝がれてしまう場合は、ガーゼをドレーン刺入部に当てた後に透明フィルムドレッシング材で覆います。固定の手順①ドレーンが抜けないように固定するためには、粘着力が強く伸縮性のあるサージカルテープを使用する必要があります。②テープの角を丸くカットし、Ωオメガ型に固定します。それにより剝がれづらく、またあそびができることでドレーンの動きに追従しやすく、安定した固定が得られます。ドレーンを皮膚に押し付けるように固定すると、ドレーンで圧迫されて皮膚潰瘍の原因になります。Ω型に固定することにより皮膚に直接当たることがないため、皮膚潰瘍の予防にもつながります。③ドレーン固定位置の記載や皮膚へのマーキングを行います。ドレーン固定位置を記載することにより、ドレーンが抜けかけていないかどうかを確認することができます。④体幹部の固定を1カ所から2カ所に増やすことで、事故(自己)抜去予防の効果が高まります。特に活動性の高い患者さんに対しては2カ所の固定を行い、動いてもドレーンが抜けないようにします。固定の手順(左ページ参照)①2枚または3枚の、角をカットした粘着力が強く伸縮性のあるサージカルテープを用意します。②皮膚表面に1枚目のテープをしわを伸ばして貼り、2枚目のテープをドレーンの上から茎を作るように高さをつけて貼ります。こうすることでドレーンとテープの接着面積が広くなり、ずれにくくなります。また、ドレーンが直接皮膚に当たらないためドレーン圧迫による皮膚潰瘍の予防にもなります。③補強したい場合は、2枚目のテープの上から切り込みを入れたテープを貼ります。刺入部の固定体幹部の固定Ω型固定[引用・参考文献]1)北尾剛明.様々なチューブ・ラインの固定方法 胸腔ドレーン.看護技術.59(3),2013,241-6.2)久泉友絵.ドレーン固定方法がわかり、抜けない・取れない・侵襲の少ない工夫ができる.月刊ナーシング.36(6),2016,113-4.3)徳永友梨恵ほか.“ドレーン固定”.新人ナースのための消化器外科ドレーン管理.楠正人監修.消化器外科NURSING春季増刊.大阪,メディカ出版,2017,28-31.
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