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章1消化器領域でみるドレーン・チューブのきほん章2術後ドレーンのきほん〜留置部位・術式・ケア〜章3内科的治療チューブのきほん〜目的・留置法・ケア〜章4排液からわかる合併症と正常・異常のみかた章5ドレーン・チューブ周辺の管理とトラブル対応ドレーン・チューブにまつわるケアのQ&A章6章6消化器ナーシング2021春季増刊055頸部食道切除術の術式食道入口部(輪状軟骨下縁)から胸骨上縁までを頸部食道といい、ここにできたがんを「頸部食道がん」といいます。頸部食道の切除だけでがんが取りきれない場合は、咽頭および喉頭の合併切除(咽頭喉頭頸部食道摘出術)が必要になります。喉頭を切除すると声帯もなくなるため、声が出せなくなります。一般的に、腹部から摘出した遊離空腸を用いて食べ物の通り道を再建します。遊離空腸は血流がなければ腐ってしまう(壊死)ため、遊離空腸の動脈・静脈をそれぞれ頸部の同じぐらいの太さの動脈・静脈と血管吻合します。さらに咽頭空腸、空腸胸部食道の2カ所の消化管吻合を行います。また、頸部はリンパ管が豊富で、特に下半身や腹部のリンパ管が合流した胸きょう管かんが左頸部で左鎖骨下静脈に流入します。ドレーン挿入の目的前述のことから、頸部食道切除術後のドレーンは、滲出液を排出することと、出血、リンパ瘻(リンパ液の漏れ)、縫合不全、血流悪化による遊離空腸壊死を察知することが目的です。特に出血は、勢いが強いとドレーンからの排液が間に合わずに頸部に血腫を作り、ひどい場合は窒息することもあるため、ただちに医師に報告しなければなりません。術式と ドレーンの 目的

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