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199整形外科看護2017春季増刊第 章DDD全般13の処置を行うときの脱臼肢位では静脈の血流がとだえることが多いために、やはり患肢にDVTが生じやすくなります。したがって、整形外科手術後のDVTは、とくに左側に多く生じるわけではないということになります1)。参考・引用文献1)藤田悟ほか.股関節または膝関節全置換術における深部静脈血栓症および肺塞栓症の発生頻度:予見的多施設共同研究.整形外科.51,2000,745-9.DVT予防として飲水を促すが、 飲水量の目安はある?124Evidence level②明確なエビデンスはない回答Ⓓその他「目安」は何mLということはいえないのは、皆さんもおわかりでしょう。目的は、血液が濃縮しないようにすることです。術中出血量や尿量、ヘモグロビン値などから判断するのですが、症例によって必要な水分量は当然異なります。おおよその「目安」ということであれば、十分な血圧と十分な尿量が保たれている、ということで判断すれば良いと思います。もちろん飲水でも点滴でも同じ効果ですから、患者さんが水分をあまりとってくれない場合には、点滴量を増やすことになります。ただし、「脱水にならないようにする」ということは、一般的な全身管理の範はん疇ちゅうになるので、詳細は周術期の全身管理について書かれた成書を参照してください。THAとTKAではTKAのほうがDVTの 発生頻度が高いのはなぜ?125Evidence level①エビデンスに基づく回答TKAでは駆血を行った場合には術中に静脈血流が途絶しており、駆血しない場合でも下腿や膝しつ窩か部ぶで静脈への牽引や圧迫が加わり、これがVウィルヒョウirchowの3徴のうちの「血管内皮の損傷」を引き起こすと考えればわかりやすいと思います。もちろんTHAでも、術野の展開のために筋肉を牽引することや、骨セメントの熱なども血管内皮の損傷の原因にはなります。TKAではもっとも血栓が起こりやすいヒラメ静脈への侵襲があるの

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