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200整形外科看護2017春季増刊で、THAと比較してDVTの発生頻度が高いと考えられます1)。ちなみにVirchowの3徴の残りの2つは、「血流の停滞」と「血液凝固亢進状態」です2)。TKAでは駆血で血流の停滞が起こります。また、駆血しなくても膝関節を屈曲して手術操作を行っている場合には血流は停滞します。THAでは、脱臼して操作を行っている間は静脈血流が途絶するという報告もあり、TKAと同じように血流の停滞が生じることになります。血液凝固亢進状態は一般的には手術侵襲や出産などがあれば、すべての人に生じます。「出血する部分があれば止血機構が強くはたらく」というわけです。したがって、手術症例では手術部位がどこであっても血液凝固亢進状態となっていると理解してください。参考・引用文献1)藤田悟ほか.股関節または膝関節全置換術における深部静脈血栓症および肺塞栓症の発生頻度:予見的多施設共同研究.整形外科.51,2000,745-9.2)Virchow,R.GesammelteAbhandlungenzurWissenschaftlichenMedizin,MeidingerSohn,Frankfurt,1856.術中の駆血時間がどれくらいで、 DVT発生のリスクが高くなる?126Evidence level②明確なエビデンスはない回答Ⓓその他数分の駆血と2時間の駆血では、当然2時間の駆血のほうがDVTのリスクは高くなります。DVTの場合、いろいろな要因で発生頻度が上昇するわけですが、「発生頻度が上昇」という意味は、「この値より低ければDVTが起こらない」ということではありません。「駆血」は血流を止めているので、1時間の駆血でも駆血しない場合と比較すればDVTのリスクは当然高くなります。もちろん駆血をしない場合でもDVTは生じます。例えば、4時間のオペラ観劇でもPTEが生じたという報告がある一方、8時間飛行機で座ったままでもPTEが生じない人もいるということです。

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