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13整形外科看護2017春季増刊第 章脊椎全般病態・治療1脊椎の手術で術後の安静度が医師によって違うのはなぜ?003Evidence level②明確なエビデンスはない回答Ⓐ症例の状態によって異なりますⒷ各医師の判断によりますⒸ施設の方針によって異なりますサマリー患者さんの骨こつ粗そ鬆しょう症しょうの程度や、どのような手術を行ったかによって安静度は異なります。術者の経験や術中の感触でもかわります。安静度は患者さんの状態で決まる頚椎の除圧術である脊柱管拡大術1)(図1)では、その術式が開発された当初、拡大した椎弓がしっかりと骨癒合を獲得することを目的に、1カ月程度の床上安静と3〜6カ月間の頚椎外固定が推奨されていました。しかし、さまざまな試行を経て、今では術後翌日から離床が許可され、外固定をしない施設さえあります。一方、脊椎固定術には金属のインストゥルメントを用います。骨粗鬆症が進んでいる症例に早期に負荷をかけると、インストゥルメントがゆるんでしまいます。また、金属の強さに骨が負けて骨折を起こすこともあります。そういう経験をもとに術式も後療法も変化してきました(図2)。これとは別に、高齢患者さんでは術後せん妄を防ぐため、なるべく早期に離床を図りたいところです。以上のように、術後の安静度は年齢や骨粗鬆症など患者さん側の要因と、術者の経験や術中のスクリューの固定の程度などの感触によってもかわるので、統一された基準をつくるのはむずかしいといえます。図1頚椎症性脊髄症と椎弓形成術(片開き式脊柱管拡大術)a:術前MRI。脊髄の圧迫(*)を複数箇所に認めます。 b:片開き式脊柱管拡大術後1年時MRI。脊髄の圧迫が解除されています。c:術後1年時CT C5。d: 術後1年時CT C6。C5/6ともに、片開きを行ったヒンジ側の椎弓は骨癒合を獲得しています()。abcd***

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