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60整形外科看護2018春季増刊鎖骨骨折1病 態解剖生理鎖さ骨こつは可動による上肢の体たい幹かん部ぶへの短縮を防止し、吊り下がる上肢を保持する機能をもちますが、上肢と体幹の距離を規定する唯一の骨であるということが重要です。鎖骨の変へん形けい癒ゆ合ごうや短縮は、美容的な外観上の問題だけでなく、筋バランスの変化や肩けん甲こう骨こつ胸きょう郭かく関かん節せつのアライメント異常も生じるため、肩関節の可動域制限、肩けん甲こう帯たいの易疲労感や持久力低下などの症状が残存することがあります1)。したがって、鎖骨骨折の治療目的は、早期の除痛と、早期に関節可動域訓練を可能とすることに加えて、もとどおりの長さと弯曲に戻すことが非常に重要です。受傷機序おもに介かい達たつ外がい力りょくと直ちょく達たつ外がい力りょくに分けられます。介達外力は、高所からの転落や、スキーなどで転倒して肩を強打すると、鎖骨が外側から圧迫されることによって骨折が生じます。直達外力は、車の交通事故の際にシートベルトやハンドルなどで直接強打した場合、または自転車での転倒や、ラグビーなどのコンタクトスポーツによって生じます。患者の年齢と好発部位男性は13〜19歳、および80歳以上の2つの年齢層における発生が多く、女性は80歳以上において多く発生します2)。鎖骨骨折の部位は「内ない側そく端たん」、「骨こっ幹かん部ぶ」、「外がい側そく端たん」の3つに分けられます(図1)。骨幹部骨折がもっとも多く約80%を占め、次に外側骨折が約15%、内側骨折がもっとも少なく約5%といわれています1)。本稿では、おもに鎖さ骨こつ骨こっ幹かん部ぶ骨こっ折せつについて記述します。福山市民病院 整形外科科長 寺田忠司内側端5%骨幹部80%外側端15%図1◆鎖骨骨折の好発部位と頻度
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