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112整形外科看護2019春季増刊人工膝関節置換術横浜市立大学整形外科 講師 熊谷 研 治療の概要 人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:以下、TKA)は、変形性膝関節症や関節リウマチ、膝骨壊死などによって変形・破壊が進行した患者さんに行われる手術です(図1)。大腿四頭筋訓練を中心とした運動療法、消炎鎮痛薬や関節注射などの薬物療法、装具療法などの保存治療では十分な効果が得られず、疼痛のため日常生活が制限されている症例が適応となります。 確実な除痛効果と安定した術後成績から、TKAの手術件数は増加傾向にあります。 手術は大腿骨遠位・後方、脛骨近位の骨を人工膝関節の形状に合わせて骨切りし、金属製のインプラントを設置します。伸展位で大腿骨遠位は大腿骨機能軸に対して垂直に、脛骨近位は脛骨機能軸に対して垂直に骨切りを行い、下肢荷重線であるMミクリッツ線が膝関節の中心を通過するように骨切り量を調整します。内外側軟部組織剥離によって伸展時、屈曲時、いずれにおいても内外側の靭帯バランスを整えます。術後に優れた除痛効果と日常生活動作(ADL)の改善が安定して得られる手術です。図1 人工膝関節全置換術(TKA)傷んだ膝関節インプラントを設置13

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