M151651
13/18
眼科ケア 2016年 秋季増刊検査編13110色覚検査章ます。ヒトの可視光線は400〜800nmですが、このうち、長波長(赤)付近の光に敏感な細胞をL-錐体(長波長感受性錐体)、中波長(緑)はM-錐体(中波長感受性錐体)、短波長(青)の場合はS-錐体(短波長感受性錐体)と呼ばれ、これらが相互に働くことで色覚が生まれます。 現代では、色覚異常に対する規制緩和や、色覚異常者に配慮したデザイン(色覚バリアフリー)が浸透し、色覚異常に対する理解が深まっていますが、弁色力が重要となる職種については色覚異常の有無が求められます。 色覚異常には先天色覚異常と後天色覚異常があります。先天色覚異常は遺伝による錐体視物質の異常で、両眼に認められ、経時的変化はありません。後天色覚異常は網膜疾患や視神経疾患などが原因で、病状により色覚異常の程度に変化がみられるため、左右眼に差が生じます。 色覚検査は、色覚異常の検出、程度判定、分類をするために行います。色覚検査にはさまざまな種類があり、それぞれの特性を理解して検査を進める必要があります。また、2014年に文部科学省から学校保健安全法施行規則の一部改正が通知され、2016年4月1日より保護者への色覚および検査の周知が図られ、検査を希望する児童に対して検査を実施することとなりました。そのため、今後は色覚異常が疑われる児童に対する検査の機会が増加することが見込まれます。色覚検査表の使用目的 色覚検査表は、色斑を並べて表現される数字や図形の視標が用いられます。数字や図形は色覚異常者にとって、地の色と図形や数字の色との見分けがつきにくいため、正常色覚者と異なる応答となります。つまり色覚異常者にとって、異なる色であっても同一色に見えやすい構造となっています。このような色覚検査表は「仮性同色表」と命名されています(図1)。図1■仮性同色表の色斑図2■石原色覚検査表Ⅱ 国際版38表の検出表の一例この表では、正常色覚で「29」、色覚異常で「70」と判読します。
元のページ