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眼科ケア 2016年 秋季増刊3 眼科の特色として、目が「見るための臓器」であるがゆえ、眼球内部が透明であり光が内部まで到達するため、光を使った多くの検査機器やレーザーなどの治療機器が存在し、視覚的に診断・治療を行うことが可能です。21世紀に入って、光干渉断層計(OCT)が普及し、広角撮影ができるOptosⓇが登場しました。手術についても、硝子体手術において、トロッカーを用いた低侵襲硝子体手術が導入され、広角観察システムやシャンデリア照明装置と併せて、治療手技が大きく進歩しました。内視鏡も改良され、涙道手術に利用されたりもします。一方、目は光を感受する(見る)臓器であるため、当然、光に対する反応を見る検査、すなわち、視力、視野、色覚などを測定する自覚的検査から、電気生理検査などの他覚的検査まであり、これらは従来から不可欠なものです。 このように、眼科では多くの検査機器、細かい手術機器が存在しますが、「とても覚えられない」と諦めないでください! 学習するにあたって、検査機器に関しては、まず、検査方法と意義(疾患との関連)について理解してください。そして、結果の解釈について学習してください。そうすることで、医師と検者の間で目的を共有でき、チーム医療の質が相乗的に向上します。手術機器に関しては、まず、手術の流れを覚えて、機器の使用目的、手術のどのタイミングで使用するかを把握しておくと、術者のストレスを減らし、手術の円滑な遂行につながります。また、術中にうまく機能するように、デリケートな機器を破損させないための扱い方と、重篤な合併症である眼内炎を起こさないための滅菌操作の基本を習得しておくことも何よりも大切なことです。 患者さんの病気を治すという共通の目的を医療スタッフ全体で共有するために、しっかり学習して、医療行為をチームとしてサポートしてください! その実現のために、この『眼科の検査機器&手術器具 完全マスターガイド』が役立ちますことを切に願っています。安川 力名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学准教授
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