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2章眼科の手術とケア眼科ケア 2017年 秋季増刊2章眼科の手術とケア眼科ケア 2017年 秋季増刊203手順❷筋を露出させて斜視鈎を挿入し、テノン囊を剝離する スプリングハンドル式剪刀でテノン囊を鈍的に剝離し、外直筋を露出させます。まず、コの字型に切開した下方結膜の後方断端部のテノン囊をポーフィック氏縫合鑷子で把持して軽く持ち上げ、スプリングハンドル式剪刀を強膜に沿わせながら、テノン囊を鈍的に剝離します。同様に、上方のテノン囊も剝離します。剝離したテノン囊部より斜視鈎を強膜に沿わせながら、筋付着部のすぐ後方に挿入して筋の全幅をすくい、付着部を保持します。筋が全幅拾えていることを確認したら、斜視鈎を介助者に把持してもらいます。後部テノン囊と筋の辺縁との境界部を確認し、綿棒を用いて後部テノン囊を鈍的に後方へしごき、剝離を展開します。テノン囊が厚く、鈍的に剝離できない場合は、スプリングハンドル式剪刀を用いて、筋の辺縁とテノン囊の境界部を切開します。出血時はバイポーラ鑷子で止血します。介助者にしてほしいこと 介助者が斜視鈎を把持する際、剝離している側を軽く上方に傾けると、境界部がわかりやすく、剝離しやすくなります。ただし、斜視鈎を強く牽引すると眼心臓反射が起こりやすいため、注意が必要です。局所麻酔では筋の牽引により痛みが増強するため、とくに留意する必要があります。ポイントとなる手技や機器・器具 筋を露出するまでの手順では、鑷子や斜視鈎を使う順序がほぼ決まっているため、術者に手際よく、持ちやすい向きで渡します。術者が術野から目を離すと、思わぬ血管を傷付けて出血を起こすことがあります。そのため、介助者は器具の配置を頭に入れ、スムーズに渡せるように準備しましょう。鑷子テノン囊剝離予定部(外直筋とテノン囊の境界部)斜視鈎強膜結膜外直筋
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