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87眼科ケア 2018年 春季増刊3章診察診察3章白内障患者さんによく聞かれる質問と答え3つじかわ眼科理事長/院長 辻川元庸 つじかわ・もとのぶ 「神の手を持つ医師」とはやし立てるようなテレビ番組の影響もあるのか、ときどき「白内障手術は簡単な手術なのでしょう?」といった軽い気持ちで手術を考える人がいます。そのときに私は前述のように答えています。白内障手術は確かに身体的な負担が少ない手術にはなったけれど…… 白内障の手術手技は洗練されてきており、手術機器の進歩とも相まって、合併症の非常に少ない手術となっています。切開創も、1cmほども切っていた囊外摘出術(extracapsular cataract extraction;ECCE)の時代から水晶体乳化吸引術(phacoemulsification and aspiration;PEA)が一般的となり、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)眼内レンズの時代には6mmに、アクリル製の折りたたみ眼内レンズで3mmに、最近では2.4mmや2.2mmの切開で手術が可能となっています。入院が必須で、睫毛切除や砂囊による眼球圧迫、球後麻酔、術後の安静が必要であった白内障手術が、今では多くの診療所において日帰りで実施されるようになっています。 ただ、どれだけ身体的な負担が少なく、手術侵襲が小さくなっても、また、どんなに熟練の術者であっても、手術合併症が起こる可能性から逃れることはできません。白内障手術は簡単な手術なのでしょう?QAAたとえば、お腹を切るような手術に比べると、短時間で済みますし、身体の負担も軽いです。しかし、手術で身体にメスを入れるからには、リスクはゼロではありません。

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