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88眼科ケア 2018年 春季増刊非常に少ない可能性であったとしても、起こり得るものなのです。そして、なかには失明に至るような合併症もあるため、手術適応には慎重になる必要があります。代表的な白内障手術合併症 代表的な手術合併症について説明します。感染性眼内炎 術中、もしくは術後に、手術創から眼内へ細菌が侵入し感染を起こすことがあります。日本では約2,000〜3,000例に1例、率にすると0.03〜0.05%程度と報告されています。感染性眼内炎は非常に重篤な合併症で、治療が遅れると失明に至ってしまいます。駆出性出血 極めてまれな合併症ですが、非常に予後の悪い合併症です。眼球の虚脱や術中のいきみなどがきっかけとなり、眼球内に大出血が起こってしまうものです。チン小帯断裂 水晶体を眼球内に固定しているチン小帯が、患者さんの体質や外傷などの原因で弱くなっている場合があります。場合によっては眼内レンズを挿入できないことがあり、追加で眼内レンズを縫着したり、強膜内に固定したりする手術を行う場合もあります。後囊破損 白内障手術では水晶体の前囊を切開し、後囊を残すことにより眼内レンズ固定の際の袋とします。加齢による組織の脆弱化や硬い核による破損、手術操作などが原因となり、後囊破損が生じ得ます。場合によっては水晶体核の硝子体腔への落下や硝子体脱出を伴い、手術時間が長くなり、術後に飛蚊症や網膜剝離を起こすこともあります。
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