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216  眼科ケア 2019年 春季増刊 霰粒腫は瞼板の脂腺であるマイボーム腺(meibomian gland)に分泌物が詰まり、貯留し、その変性した内容物に対する異物反応として、慢性肉芽腫性炎症を生じた疾患です。時間の経過とともに膠原線維の増殖が生じて線維化を来し、肉芽腫が形成され、眼瞼皮下に粟粒大から大豆大の円形で硬い腫瘤を触れるようになります(図1)。 患部に限局性の発赤、腫脹を認めますが、自発痛はなく、腫瘤は主として瞼板中に存在し、可動性はありません。炎症が長期にわたり、眼瞼の前葉に及ぶと眼瞼皮下に発赤を認めます。さらに炎症が遷延して腫瘤が大きくなると、皮膚側や結膜側に自壊して、あたかも膿が出たような所見を呈することもありますが、感染症ではありません。結膜側に繰り返し自壊して遷延化した霰粒腫はポリープ状の外観を呈し、眼瞼腫瘍と誤解されることもあります。成人で治療に抵抗する霰粒腫の場合、脂腺がんであることがあるため、病理組織検査が必要です。●対象と目的 患者さんが小児の場合や腫瘤形成が軽度な場合、手術処置や加療を望まない場合は、局所の慢性肉芽腫性炎症を消退させるために、眼瞼皮膚にステロイド眼軟膏を塗布する処置を行います。霰粒腫とは霰粒腫の処置:薬物塗布による処置②霰粒腫・麦粒腫の処置江口眼科病院院長 江口秀一郎 えぐち・しゅういちろう5章処置でどう使われる? よく使用される薬処置でどう使われる? よく使用される薬●図1 霰粒腫の前眼部の所見

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