146 眼科ケア 2020年 秋季増刊 画像の読影には、網脈絡膜の基本的な解剖の理解が必要です。SS-OCTでは、網膜や脈絡膜の層構造に加え、強膜や硝子体(硝子体ポケット)も明瞭に観察できます。 上図は正常眼の検査結果です。正常眼の水平断では、中心窩の鼻側は乳頭黄斑束を含むため、耳側よりも厚く、中心窩の左右で厚みが非対称になります。視神経疾患で乳頭黄斑束が障害されると、鼻側が薄くなります。一方、垂直断では、網膜血管によるシャドーが網膜外層にみられ、網膜各層の厚みが上下対称になることが特徴です。網膜外層では、EZやIZの状態が視機能障害と相関するため、外層ラインの明瞭、不整、欠損の有無に注目して観察します。 マップ解析では、機器に内蔵されている人種別、および年齢別正常眼データベースと比較した確率マップによる解析が行われ、一般的に正常領域は緑色(p>5%)、正常と異常の境界領域は黄色(p<5%)、異常領域は赤色(p<1%)で表示されます。日本人における正常眼の中心窩網膜厚は「男性:225.8±19.1μm」「女性:218.8±17.8μm」2)、GCC厚は「93.1±5.8μm」3)、cpRNFL厚は「102.7±8.7μm」3)、中心窩脈絡膜厚は「265.5±82.4μm」4)とされています。cpRNFL厚は下方と上方が厚く、鼻側と耳側が薄いこと(ISNTの法則)が特徴で、耳上側と耳下側に厚みのピークを持つ二峰性(double hump)パターンを示します。各網膜厚や脈絡膜厚は、長眼軸長や加齢変化に伴い減少します。正常眼マップ解析TSNITグラフOCT画像(水平断)耳側鼻側OCT画像(垂直断)上方下方検査結果の見方検査結果の見方検査結果の見方
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