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呼吸器ケア 2018 夏季増刊103吸引に関する物品Part 9吸引カテーテルの形態 吸引カテーテルにはさまざまなタイプがありますが、挿入の際に特に注意することは、吸引操作による気管粘膜の損傷です。そのため、先端のエッジを丸く加工したラウンドタイプが多く販売されています。そこで、テルモ社とニプロ社の製品を比較しました。大きな違いはありませんが、ニプロ社の製品の方が先端の構造がやや丸みを帯びています(図5)。また現在、先端だけに孔のある単孔式ではなく、側孔がある多孔式の製品が多く販売されています。多孔式の方が、分泌物を側孔に接触させやすく、1カ所にかかる吸引圧が緩和され、粘膜損傷を防ぐ可能性があるといわれていますが、これらに関するエビデンスは乏しいともいわれています1)。そのため、気道粘膜の損傷を防ぐためには、形状の選択などよりも、愛護的な操作を心がけることが大切です。2005年の『Chest』に、多孔式吸引カテーテルの吸引効果を比較した、興味深い報告があります2)。この研究では、3種類の痰に似せた人工物を作り、側孔の大きさと、その位置を変えた6種類の14Fr吸引カテーテルを準備し、吸引効果について比較検討しました(図6)。その結果、実際の痰の性状に近い1.5%と3.0%の濃度の人工物に関して、側孔が一番大きく、位置が平行でない構造が、最も効果的でした。この結果を踏まえ、テルモ社とニプロ社の吸引カテーテルを比較すると、側孔の大きさはほぼ同じで、2つの側孔の位置関係も平行ではなく、上下で位置がややずれた関係になっています(図7)。前述した図2気管挿管用カテーテル(吸引圧調整口・目盛り付き)図3先端の形状の違いストレートタイプアングルタイプ図4アングルタイプは左右の気管支に選択的に挿入しやすい図5カテーテル先端のエッジの比較ニプロ社の製品の方が、先端の構造がやや丸みを帯びたラウンド構造になっている。テルモニプロ吸引圧調整口目盛り
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