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呼吸器ケア 2018 冬季増刊1444章グラフィックモニタリング、アラーム設定グラフィックの異常1日本大学医学部附属板橋病院 臨床工学技士室清水彰子 しみず・あきこIntroduction呼吸状態について、皆さんは何を見てアセスメントしていますか。呼吸状態を把握する方法として、聴診や打診、胸部X線や血液ガス検査などがありますが、その評価のために道具(聴診器や撮影装置など)が必要であったり、技術が必要であったり、時間がかかったり、なかなか一筋縄ではいきません。人工呼吸器グラフィックは、たとえ周りが騒がしくても、薄暗くても、手持ちの道具がなく、たまたま通りがかっただけでも、視覚的に呼吸状態を予想することができます。また、不適切な設定や新たに発生した異常のサインにも気づくことができます。呼吸状態のアセスメントや、患者に合った設定となっているのかを知るための一つのツールとして、胸部X線や血液ガスなどと一緒にグラフィックを活用していただきたいと思います。グラフィックの種類と正常波形グラフィックには、時間を横軸にとった気道内圧波形(圧―時間)、流量波形(流量―時間)、換気量波形(換気量―時間)の3つの代表的な波形に加え、圧―換気量曲線、流量―換気量曲線の2つのループ波形があります(図1)。グラフィックに精通すると、特定の波形にこだわらずに異常を見つけることができるようになりますが、慣れるまではそれぞれの異常を発見しやすいものを中心に確認するとよいでしょう。ここでは、経時的な変化から一つ一つの問題を明らかにしやすいと考えられる、時間を横軸にとった3つの波形について解説します。人工呼吸器の換気方法には量規定換気(VCV)と圧規定換気(PCV)があり、制御方法により変化する波形が異なります。まずは3つの正常波形から見ていきましょう。

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