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呼吸器ケア 2018 冬季増刊642章モード人工呼吸の分類1日本大学医学部附属板橋病院 臨床工学技士室/医療安全管理室中川富美子 なかがわ・ふみこIntroduction人工呼吸とは、肺の機能を人工的に補助することをいいます。気管挿管を行わずマスクを使ってサポートする非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilation;NPPV)と、気管チューブなどの人工気道を通して肺に空気を送る侵襲的陽圧換気(invasive positive pressure ventilation;IPPV)があります。また、空気の送り方にもいろいろな方法があります。このような人工呼吸の分類について知ることで、全体像を把握し、実際の人工呼吸管理の流れについて理解していきましょう。人工呼吸とは1.呼吸とはそもそも“呼吸”とは何でしょうか。呼吸とは、酸素を取り込んで(酸素化)、その副産物である二酸化炭素を体外に排出することです。人工呼吸の世界では、二酸化炭素を体外に吐き出すことを換気といいます。また、呼吸を細胞レベルで行うことを内呼吸(あるいは細胞呼吸)、肺を通じて人体が外界とのガス交換を行うことを外呼吸といいます。人工呼吸では、この外呼吸をサポートすることができます。患者の呼吸運動がまったくなされなければ、患者に向けて人工呼吸器が一方的に空気を送り込みます。自発呼吸があれば、自発呼吸に合わせた部分的な換気サポートを行うこともできます。2.呼吸の補助呼吸におけるガス交換とは、酸素化と換気のことを指します。つまり、呼吸を補助するということは、「酸素化」と「換気」を助けることを指します。

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