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呼吸器ケア 2018 冬季増刊652章人工呼吸の分類13.酸素療法と人工呼吸の違い酸素化が低下し、低酸素血症となったとき、どのように補助すればよいでしょうか。まず選択されるのは、酸素療法です。血中に酸素が足りなくなるような低酸素血症をきたした場合には、酸素マスクで酸素投与量を調整し、吸入酸素濃度を上昇させることで、低酸素血症を是正することができます。ただし、酸素投与では改善しない低酸素血症や、換気不全による高二酸化炭素血症が出現する場合には、酸素投与だけでは改善することができません。高二酸化炭素血症をきたすような換気障害が生じた場合には、換気のサポートが必要となります。そこで登場するのが、人工呼吸です(図1)。人工呼吸には、マスクを介して空気を送り込むNPPVと、気管挿管などを行い確実に気道を確保したうえで気管チューブなどを介して空気を送り込む侵襲的陽圧換気があります。NPPVの適応と設定NPPVの良い適応となるのは、COPDの急性増悪や喘息、心原性肺水腫などのように、ある程度原因が明らかで、NPPVにより速やかに呼吸状態の改善が期待できるような症例です(表1)。また、気道分泌物がコントロール可能で、患者自身で気道が確実に確保できること、意識が清明で協力的であること、自発呼吸があることなどが特に重要なポイン侵襲的陽圧換気(IPPV)非侵襲的陽圧換気(NPPV)気道確保の必要性NPPVでは改善しない状態の悪化重症・重篤な状態酸素療法酸素投与では改善しない低酸素or/and換気障害の出現呼吸管理の流れ図1NPPVが施行できない症例NPPVが良い適応となる症例・心停止、呼吸停止・血行動態が不安定・虚血性心疾患や不整脈がある・非協力的・気道が開通していない・誤嚥の可能性が高い・上部消化管出血がある・重度の低酸素血症・重度の脳症・顔面外傷や熱傷がある・顔面の手術施行直後・不穏・閉所恐怖症がある・48~72時間以内に呼吸状態が改善されることが予想できる・意識が清明・NPPV導入に協力的・血行動態が安定している・自己去痰が可能であるNPPVの適応となる症例の分類(文献1より引用改変)表1

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