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108みんなの呼吸器 Respica 2019夏季増刊3章急性期NPPVの呼吸管理と患者ケアをマスターしよう!~ICUから病棟へ~公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科 部長/救急部集中治療室 室長横山俊樹Yokoyama Toshiki急性期導入時の初期設定のポイント1NPPVを急性期に導入するにあたって、どのような疾患が対象となるのか、十分に理解しておくことは極めて重要です。当然、急性期NPPVの対象病態は「急性呼吸不全」ということになりますが、一般に急性呼吸不全にはCO2貯留を伴わないⅠ型呼吸不全とCO2貯留を伴うⅡ型呼吸不全の2種類があります。共に急性呼吸不全においてはNPPVの適応となる病態ですが、それぞれに設定方法などが異なるため、これら呼吸不全の病態は十分に理解しておく必要があります(表1)。1.Ⅰ型呼吸不全 CO2貯留を伴わないⅠ型呼吸不全では、低酸素血症が主体となります。Ⅰ型呼吸不全による低酸素血症をきたす病態生理としては、①拡散能低下、②シャント、③換気/血流比の不均衡、の3つが知られています。これらの病態を呈した場合には十分な酸素化を維持するため、またPEEPによる病態の改善や呼吸仕事量の軽減を行うためNPPVが有効となります。通常は換気補助は必要としないため、CPAPモードを用いますが、呼吸筋疲労を伴う場合や強い頻呼吸がある場合には呼吸仕事量を軽減し、Ⅱ型呼吸不全への進行を防ぐためにも圧補助を有するモード(S/Tモード、PSVモードな急性期NPPV導入における病態生理の理解急性期NPPV初期設定のポイント・急性期NPPVを行う前に急性呼吸不全の病態を理解する。・NPPVを導入する目的を明確にした上で治療戦略を立てる。・設定は緩めから開始し、徐々に上げていく。・急性期NPPVを成功させるためには患者の協力が必須である。ここではこの4つのポイントについて解説します。

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