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3章2章1章急性期導入時の初期設定のポイント1みんなの呼吸器 Respica 2019夏季増刊109ど)を用いることがあります。2.Ⅱ型呼吸不全Ⅱ型呼吸不全による低酸素血症をきたす病態は肺胞低換気が主となります。有効肺胞換気量の減少はCO2貯留を招き、状態が重篤化すれば呼吸性アシドーシスを呈します。これらの改善にはNPPVは有効ですが、Ⅰ型呼吸不全と異なり、換気量を増加させることが最も呼吸不全の改善には有効であるため、通常は圧補助を有するモード(S/Tモード、PSVモードなど)を用います。ただし、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの一部の疾患では内因性PEEPの存在が呼吸不全増悪の原因となっていることがあるため、CPAPモードとしてPEEPをかけるだけで気流制限が改善され、換気不全が改善する場合があります。NPPVは呼吸管理の一手段であり、原疾患の根本的な治療ではありません。このため、メリット・デメリットを十分に勘案しながら使用する必要があります。すでにさまざまな過去の知見から、急性期NPPVの臨床効果は疾患によりさまざまであることが知られており、ガイドラインにおいても疾患ごとに根拠や推奨度はさまざまです(表2)1)。これら疾患ごとの根拠・推奨度は十分に意識した上でNPPVの治療戦略を計画することが重要です。では、どのような治療戦略を計画するのでしょうか?急性期NPPVの目標設定Ⅰ型呼吸不全Ⅱ型呼吸不全動脈血ガス所⾒・PaO2<60mmHg・PaCO2<45mmHg・PaO2<60mmHg・PaCO2>45mmHg病態⽣理・拡散能障害・シャント・換気血流⽐不均衡・肺胞低換気主な病態の特徴・低酸素血症・換気不全NPPVの⽬標・酸素化の改善・呼吸仕事量の軽減・酸素化の改善・換気不全の改善・呼吸仕事量の軽減主に⽤いるNPPVモード・CPAPモード・S/Tモード、PCVモードなど⼀般的なNPPV初期設定・CPAP 4〜5cmH2O・PEEP 4〜5cmH2O・圧補助4〜5cmH2O表1 呼吸不全の病態とNPPV設定

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