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160みんなの呼吸器 Respica 2019夏季増刊在宅NPPVは1998年にわが国で保険適用となり、以降この有用性に関するさまざまな報告がなされ、使用される機会が非常に増えています。NPPVは一般的に、高二酸化炭素血症を伴う慢性呼吸不全患者に対する在宅人工呼吸の方法として導入され、主に夜間使用することで予後や自覚症状が改善するとされています1〜4)。そして実際に、今まで救命したり退院したりすることが難しかったような呼吸不全症例も、在宅NPPVを導入することで長期間自宅で過ごすことができた、などという場面もよく見られるようになっています。在宅NPPVの導入が必要となるのはⅡ型慢性呼吸不全を呈する疾患です。中でも慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核後遺症、神経筋疾患の3疾患が多く、これらで過半数を占めます。ほかにも後側弯症(胸郭変形)、肺胞低換気症候群、間質性肺炎などでも導入されています5)。上記の慢性呼吸器疾患では、気道狭窄、肺気量の低下、呼吸筋力低下のいずれか、もしくはこれらの複合により低換気の状態となります。慢性的な低換気により徐々に高二酸化炭素血症が進行します。さて、この高二酸化炭素血症ですが、これは「夜つくられて、夢の中で育っていく」といわれています。夜間睡眠時、特に夢と関連するREM睡眠時の低換気によって始まり、増悪していきます。健常人でも睡眠時は覚醒時に比べて低換気になります。またさらにREM睡眠時は換気の低下が顕著になります。これは、もともと睡眠時は呼吸中枢出力が低下することに本稿ではその導入の実際につき、具体的に見ていきましょう。在宅NPPV導入を検討すべき慢性呼吸不全患者独立行政法人国立病院機構 南京都病院 呼吸器センター 内科医長⻆ 謙介Sumi Kensuke在宅導入の適応判断と設定のポイント14章慢性期NPPVの呼吸管理と患者ケアをマスターしよう!~病棟から在宅へ~

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