みんなの呼吸器 Respica 2019夏季増刊3はじめに わが国の呼吸不全に対する呼吸管理は、1990年頃まではまず酸素療法が行われ、それだけでは効果が不十分な場合は、侵襲的陽圧換気療法(invasive positive pressure ventilation;IPPV)が考慮されてきました。しかし1990年代初めになると、わが国でも非侵襲的陽圧換気療法(non-invasive positive pressure ventilation;NPPV)が試みられるようになり、その後さまざまな検討結果からNPPVの有用性が確立された病態もあり、2000年頃からかなりの普及が認められています。したがって、現在は呼吸不全に対する人工呼吸管理を考慮する際、まずNPPVかIPPVを選択する必要があります。またIPPVからNPPVへの移行、あるいはその逆についても考慮が必要です。さらには最近のトピックスとして、ハイフローセラピーの使用経験が集積されるようになり、従来の酸素療法とNPPVの中間的な位置づけとなっています。したがって、急性から慢性期への移行期への呼吸管理では、IPPVからの離脱、NPPV・ハイフローセラピーの適応の可否、従来の酸素療法への移行などを考慮する必要があり、これらを円滑に実施・継続するためには、多職種によるチーム医療が求められています。 そのような背景から2014年12月に雑誌「呼吸器ケア」の冬季増刊として『この一冊でズバリ知りたい! とことん理解! NPPVまるごとブック』を企画・刊行いたしましたが、それから5年を経て、さらにパワーアップを目指した本書を企画し、急性から慢性期の非侵襲的な呼吸管理全般をわかりやすく解説することを目標にしました。 本書が呼吸管理に関わるすべての職種の一助になれば幸いです。医療法人徳洲会 八尾徳洲会総合病院 副院長石原英樹大阪はびきの医療センター 呼吸ケアセンター 副センター長/慢性疾患看護専門看護師竹川幸恵
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