10みんなの呼吸器 Respica 2019夏季増刊 非侵襲的陽圧換気療法(non-invasive positive pressure ventilation;NPPV)は侵襲的な気道確保をせずに、マスクを用いて行う陽圧換気療法です。一方、侵襲的陽圧換気療法(invasive positive pressure ventilation;IPPV)は気管挿管や気管切開などの侵襲的な気道確保下に行う陽圧換気療法です。NPPV、IPPVのいずれも“ventilation”という言葉通り換気の補助を行い、高二酸化炭素血症の改善効果があります。さらにCPAP効果で酸素化の改善効果もあります。一方、酸素療法は文字通り空気中よりも高い濃度の酸素を投与することであり、酸素吸入により吸入気酸素濃度を上げ、肺胞気酸素分圧、動脈血酸素分圧(PaO2)を上昇させ、低酸素血症を改善・予防するのが目的となります。したがって、換気補助の効果はありません。同様にCPAP療法も換気の観点からはNPPVには含まれませんが、急性呼吸不全に対する非侵襲的呼吸管理で用いられるため、本稿ではCPAPも含めてNPPVとして概説します。1.急性呼吸不全にはNPPVかIPPVか? NPPVはIPPVと比べ、「導入の容易さ」「簡便性」「患者に対する侵襲度が低い」とはじめにCPAP効果はNPPVの場合はEPAPに相当します。CPAP;continuous positive airway pressure(持続気道陽圧)EPAP;expiratory positive airway pressure(呼気圧)急性呼吸不全に対するNPPV医療法人徳洲会 八尾徳洲会総合病院 副院長石原英樹Ishihara Hideki急性期・慢性期における非侵襲的な呼吸管理とは11章NPPV管理の基本をおさえよう!
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