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1章急性期・慢性期における非侵襲的な呼吸管理とは1みんなの呼吸器 Respica 2019夏季増刊11いうメリットがあります。特に、気管挿管などの侵襲的な気道確保が必要ないため、これまで躊ちゅう躇ちょしていた症例にも、より早期からの介入が可能となりました。しかし、肺胞換気量確保の確実性の点では、IPPVの方が優れています。これは、NPPVでよく用いられるbilevel PAP(二相性気道陽圧)タイプの人工呼吸が、リークを許容した設計となっているためです。 導入の容易さと簡便性、患者に対する侵襲度の低さからは、まずNPPVが選択されるべきですが、誤嚥がある場合や、喀痰などの分泌物の自己喀出が困難なため気道確保が必要である場合などは、IPPVが適切です。またNPPVはすべての患者に有効ということではありません。例えば呼吸が微弱で生命の危機が迫っている場合も、IPPVが適切です。1.導入が容易で簡便2.会話が可能3.食事摂取が可能4.気管挿管に伴う危険性が回避可能5.状況に応じて、いつでも中断可能6.体位変換が容易(沈下性肺炎のリスクを減少)表1 NPPVの利点1.患者の協力が不可欠2.気道と食道が分離できない3.気管吸引が困難4.マスクの不適合、マスクによる障害5.高い気道内圧を確保するのが困難6.医療スタッフの習熟と慣れが必要表2 NPPVの欠点表1〜3に気管挿管と比較したNPPVの利点・欠点を示します。経口・経鼻挿管気管切開NPPV長所・ 簡単、手術なしで素早く行える・ 出血の危険性が少ない・ 気管より上野レベルでの障害を起こさない・ 気道吸引が容易・ 太い気管チューブの使用が可能・ 患者に苦痛がない・ 気管チューブの交換が比較的容易・ 工夫により会話可能・ 経口摂取可能・ 挿管よりも簡便で素早く行える・ 挿管・気管切開に伴う合併症を起こさない・ 中断・再開が容易短所・ 気管レベルより上(鼻腔、咽頭、声門、声門下)での障害が起きやすい・ 気道吸引がやや困難・ 患者に苦痛・ 会話不能・ 手術操作に関連した合併症(出血、感染、気胸など)の可能性が避けられない・ 遅発性合併症(抜去困難、瘢痕)の可能性が避けられない・ マスクによる皮膚の発赤・潰瘍などの可能性が避けられない・ 換気・酸素化の確実性の面で劣る・ 患者の協力が必要表3 各種インターフェイスの比較

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