063みんなの呼吸器 Respica 2020夏季増刊CHAPTER0開始から離脱までCHAPTER2換気設定で必ず使う機能CHAPTER3アラーム機能CHAPTER4呼吸をもっと快適にするCHAPTER5離脱・抜管CHAPTER6人工呼吸ケアレベルアップ巻末資料CHAPTER1全機種共通で覚える まず、1コマ目はフィジカルアセスメントの場面です。視診では、苦痛表情や呼吸困難+努力呼吸、発汗を認め、聴診では呼気にwheezesを認めていて、看護師は鎮静不足や気管チューブによる疼痛コントロール不足かもしれないとアセスメントしています。また、SpO2が88%と低値になっているからといって安易にFIO2を上げるのはOK! ……ではありません(→Chapter.1-16)。SpO2が低値になっている原因を考えなくてはいけません。苦痛や不安、不穏がある場合にも呼吸困難や頻呼吸、代謝の亢進などが起こるため、PAD(疼痛、鎮静、せん妄)の評価が重要になります。 2コマ目では、頻脈、血圧上昇、SpO2低下、頻呼吸に加えて、ETCO2の値とカプノメーターの波形が異常になっています。呼吸数測定の重要性 呼吸数の測定はとても重要です。呼吸器に問題のある患者が頻呼吸になるのは当然ですが、敗血症やうっ血性心不全などの呼吸器以外の致死的な病態においても、頻呼吸はSpO2の変化よりも早期から起こることが知られています(図1)。このような病態で頻呼吸になる原因は2つ挙げられます。1つ目は、末梢組織が低灌流になり酸素不足に陥ってしまうためで、もう1つは酸素不足による嫌気性代謝が起こり代謝性アシドーシスが進行し、これを代償するように過換気になるためです。人工呼吸器を装着していても、深鎮静や筋弛緩薬で自発呼吸を消失させない限り頻呼吸は起こります。そのため、人工呼吸器装着中に頻呼吸が見られるときは、「何かが起こっている」ということも考えて対応しましょう。ETCO2の異常を読み取る 次にETCO2の波形(図2)をよく見ると、COPDや喘息などで気流制限があるときに出現するshark-nと呼ばれる波形(Ⅱ相のなだらかな上昇+Ⅲ相の急峻化 →Chapter.1-17)になっているのがわかります。そしてETCO2が60と高値であり、気流制限でCO2が吐き出せなくなりCO2が貯留していると考えられまどうしよう?A:医師に報告して、鎮静を深くしてもらう。B:医師に報告して、人工呼吸器の設定を変更してもらう。C:医師に報告して、ネブライザー(短時間作用性β2刺激薬:SABA)の指示をもらう。D:十分な呼出を促すために、呼吸介助(呼気介助)を行う。頻呼吸の原因をアセスメントしてみよう?刺激薬:SABA)の指示?刺激薬:SABA)の指示
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