008みんなの呼吸器 Respica 2020夏季増刊 人工呼吸器って何のためにあると思いますか? もちろん人工的に呼吸を補助するための機械ですが、その目標は何でしょうか。 多くの方は酸素化を維持する、もしくは二酸化炭素をコントロールするとイメージしているのではないでしょうか。大きく間違ってはいないのですが、それだけではありません。最も重要なのは呼吸を行う機能を代行することで「呼吸仕事量を減らす」ということです。なぜ呼吸仕事量を減らさなければならないか なぜ呼吸仕事量が大切なのでしょうか? 理由は簡単です。呼吸というのはバランスです。酸素の需要と供給のバランスがとれなければいけません。つまり、いかに人工呼吸を用いて体への酸素供給量が増えたとしても、その分たくさんのエネルギーを消費するように激しく努力呼吸を行っていては、需給バランスが取れないのです。そのため、人工呼吸をうまく行うためには適切な鎮静や全身管理、人工呼吸器設定などを考えて患者に「楽に呼吸」をしてもらい、呼吸仕事量を軽くしてあげることが大切なのです。 人工呼吸器を使用する対象は主に「呼吸不全」という病態です。呼吸不全には2つのタイプがあるのはご存じですよね。CO2上昇を伴わないⅠ型呼吸不全とCO2上昇を伴うⅡ型呼吸不全です(図1)。人工呼吸の対象図1 Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全の違い呼吸不全ガス交換障害換気障害低酸素血症+高二酸化炭素血症肺胞低換気低酸素血症が主の病態Ⅰ型呼吸不全換気不全が主の病態Ⅱ型呼吸不全シャント拡散障害換気血流比不均等人工呼吸って何のため?人工呼吸開始から離脱までのロードマップ人工呼吸器でできること01CHAPTER0
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